Once Upon A ...

バブルへGO!」の公開に伴い、レンタル店で「サマータイムマシン・ブルース」を推していた。
評判も良いようなので見てみた。


タイムパラドックスへの愛がある、と感じた。
良く読み込んでいるのではないか、と思った。


ともすれば難解になりがちなタイムパラドックスは、この作品では、わかりやすく、ポップである。
わかりやすさについて例示すると、細かい点では、「(水道の蛇口ではないけれど)タイムマシンが未来に行く際は画面の上に、過去に行く際は画面の下に」と見るものに無用の混乱を与えない配慮がされている。

yahooのレビューでも、

  • 監督は、Back To The Futureを見ている
  • この作品はドラえもんを参考にしている

などといった感想が書かれていたが、これは、この作品を見た人間が「好きなタイムマシンの作品」を連想した、ということではないかと思う(※)。自分は、広瀬正を連想した。


タイムマシンをガジェットとして使った軽妙なSFでは、広瀬正が有名である。和製SFにおけるタイムパラドックスものの金字塔と呼ばれる「マイナス・ゼロ」が有名だけど、上に貼った「タイムマシンのつくり方」は、絶妙な短編集である(そして、現在でも入手しやすいように見える)。例えば、掌編「発作」では、たったの1分だけ過去に移動するタイムマシンが登場する。ほんの少しだけの時間移動という点で、まず連想する。
映画では、画面の上下2分割という手法が数回出てきたけれど、正直に言うと、これの画面の上下でそれぞれストーリーが進むあたりが、広瀬正を連想させられて、なにか懐かしいような気持ちになった。
いまいちどAKASAKA氏に会うために、本棚から探して頁を開くか、とふと思った。
オヤコドンブリが食べたくなった。

タイムマシンのつくり方 (集英社文庫 ひ 2-6)

タイムマシンのつくり方 (集英社文庫 ひ 2-6)


※ ところで、この作品に登場するタイムマシンはウェルズ式になっていて、時間設定はダイヤル式で行い、レバーを上下することで時間移動する。このレバーは真鍮と水晶で出来ている。タイムマシンに「カコ」「ミライ」と書かれたTape Writerが貼ってあるのが気になった。これも何か意味深なものに見えるが、どうか。